徳島市の賃貸、防災で確認すること|南海トラフ・台風・保険の画像

徳島市の賃貸、防災で確認すること|南海トラフ・台風・保険

井上 隼斗

筆者 井上 隼斗

不動産キャリア4年

部屋探しで最初に見るのは、家賃、間取り、駐車場の3つという方が多いと思います。防災は気になっていても、条件に入れにくい項目です。契約が終わってからハザードマップを開き、初めて知ることもあります。

徳島市は、徳島県が2026年2月に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定で、最大震度7とされています。津波の浸水想定では、浸水面積が県内で最も広い市です。台風や大雨の季節には、市内を流れる川の水位も気になります。

住む場所を決める前に見ておけば、契約後に困ることを減らせます。以下、契約前に住所で調べること、不動産会社に聞くこと、入居後に備えることの順に書きます。数字は徳島県・徳島市・国の公表資料と、当社が扱っている徳島市の物件のデータによります。個々の物件の安全性を保証する内容ではないので、最終的には物件の住所でハザードマップと重要事項説明書を確認してください。

徳島市の防災は、南海トラフの地震・津波と、台風・大雨の2系統で考える

徳島市の想定は、徳島県が2026年2月4日に公表した「徳島県南海トラフ巨大地震被害想定」で確認できます。徳島市分を抜き出すと、次のとおりです。

徳島市は震度7、全壊・焼失は27,400棟の想定

項目徳島市の想定内訳・補足
最大震度72013年の前回想定も7
全壊・焼失棟数27,400棟揺れ18,400棟/津波4,400棟/火災4,000棟/液状化440棟
死者数5,200人津波3,900人/揺れ1,100人/火災130人
うち家具の転倒による死者90人揺れによる死者1,100人の内数
津波の浸水面積40.1km²浸水深1cm以上。県の表に載る市町で最大
津波の水位が1m上がるまでの時間43分マリンピア東端の地点。海辺で水位が20cm変化するまでは28分

※出典: 徳島県「徳島県南海トラフ巨大地震被害想定の概要」(2026年2月4日公表)、徳島県「徳島県津波浸水想定の公表について」(2025年9月定例会資料)。全壊・焼失は冬・夕、死者は冬・深夜の想定で、季節や時間帯によって数字は変わります。津波の時間は最大クラスの津波の想定で、場所によって異なります。

表を見ると、徳島市では津波だけが問題ではないと分かります。全壊・焼失27,400棟のうち、最も多いのは揺れの18,400棟です。死者数でも、揺れが1,100人、火災が130人を占めます。津波の浸水域から外れた物件でも、揺れと火災への備えは必要です。

賃貸の暮らしに直接かかわるのは、家具の転倒による死者90人という数字です。建物の構造は選ぶしかありませんが、部屋の中の家具は入居後に自分で固定できます。

30年以内の発生確率と、生活が止まる期間

南海トラフ地震が今後30年以内に起きる確率は、徳島県の2026年7月の研修資料(内閣府の資料を引用)で、算定方法によって「60〜90%程度以上」と「20〜50%」の2通りが示されています。どちらを採っても、住んでいる間に起きる可能性を部屋選びの条件に入れておく根拠にはなります。

地震のあとの暮らしについては、県全体の想定で、水道の断水率が直後87%、1週間後でも44%とされています。停電は直後99%、1週間後でも17%です。復旧まで部屋で過ごすなら、水と食料を置く場所が要ります。内見で収納の広さを見ておく理由は、ここにあります。

台風・大雨は、洪水・高潮・土砂災害

もう一つの系統が、台風と大雨です。徳島市の洪水ハザードマップは、吉野川、旧吉野川・今切川、勝浦川、園瀬川、鮎喰川、飯尾川、江川の7河川に分けて作られています。高潮のハザードマップもあります。どちらも、想定し得る最大規模の雨や高潮を前提にした浸水想定です。

河川ごとにマップが分かれているため、同じ物件でも、どの川のマップに入るかは住所で調べるしかありません。町名だけでは決まらないのが、徳島市の水害マップの特徴です。

契約前に、物件の住所で調べる4つの情報

調べるのは町名ではなく、物件の住所です。同じ町内でも、浸水の深さは場所によって変わります。4つの情報を、どこで見られるかとあわせて表にまとめました。

調べること見る資料・場所分かること
津波徳島県の津波浸水想定、津波災害警戒区域図(県の総合地図提供システム、徳島市役所危機管理課の窓口)浸水域に入るか、浸水の深さ
洪水・高潮徳島市の洪水・高潮ハザードマップ(河川ごと)、国土交通省のハザードマップポータルサイト想定最大規模の浸水の深さ、最寄りの避難所
土砂災害徳島市の土砂災害ハザードマップ土砂災害警戒区域に入るか
揺れ・液状化徳島県の南海トラフ巨大地震被害想定(震度分布図・液状化危険度分布図)市町村ごとの震度、液状化の危険度

津波は、県の最新の想定を使う

徳島市の「地震・津波防災マップ」は、2014年3月に作られたものです。徳島市のページによると、県が2025年9月12日に津波浸水想定を、2026年3月11日に津波災害警戒区域(イエローゾーン)を公表したため、市は最新版を作成中です(2026年10月確認)。市の古いマップの色分けだけで判断せず、県の最新の津波浸水想定で見直してください。

津波災害警戒区域とは、最大クラスの津波が起きたときに命や身体に危害が及ぶおそれがあり、警戒避難体制を特に整えるべき区域として、県が指定するものです。徳島県の資料では、この区域は津波浸水想定の浸水域(浸水深1cm以上)と同じ範囲とされています。

賃貸の重要事項説明で、説明されるものとされないもの

賃貸契約でも、契約の前に宅地建物取引士が重要事項説明をします。国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、建物の賃貸について、防災にかかわる次の項目が説明の対象です。

  • 土砂災害警戒区域の中にあるか
  • 津波災害警戒区域の中にあるか
  • 水害ハザードマップ(洪水・内水・高潮)の上で、建物がどこにあるか(2020年8月28日から)
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に確認を受けた建物で、耐震診断を受けているときは、その内容

水害ハザードマップが河川ごとに作られている場合は、物件の所在地が入っているマップのすべてで説明することになっています。徳島市は7河川に分かれているので、1件の物件で複数のマップを見ることもあります。浸水想定区域の外にある場合も位置は示され、「区域外だから水害の心配はない」と受け取らないよう配慮することが、国のガイドラインに書かれています。

一方、説明の項目に入っていないものもあります。県の津波浸水想定が示す浸水の深さ、揺れの強さ(震度)、液状化の危険度です。聞かなければ出てこない情報なので、自分で調べるか、不動産会社に尋ねてください。なお、不動産会社に耐震診断の実施が義務づけられているわけではなく、診断の記録があればその内容を説明する決まりです。

築年・階数・構造・部屋の中|建物で確認すること

築年の分かれ目は、1981年6月と2000年6月

建築基準法の耐震基準は、1981年(昭和56年)6月1日から新耐震基準になりました。木造住宅では、接合部の仕様などが明確になった2000年(平成12年)6月1日も区切りです。2016年の熊本地震では、2000年より前に建てられた新耐震基準の木造住宅にも、倒壊した例がありました。国土交通省は、既存の木造住宅のうち2000年以前のものを中心に、接合部などの確認を勧めています。

2026年10月時点で、築45年前後より古い建物は1981年6月より前、築26年前後より古い建物は2000年より前の建築にあたります。ただし、基準の判定に使うのは建築確認を受けた日で、完成した日ではありません。築年数だけで決めず、確認済証の交付日と耐震診断の有無を、重要事項説明で聞いてください。

地震保険にも、この区切りが出てきます。1981年6月1日以降に新築された建物には、保険料の建築年割引(10%)があります。

階数は、想定される浸水の深さと照らして決める

1階は不利で、上の階は有利とは、一律には言えません。津波や洪水は、マップに出ている浸水の深さより上の階かどうかが基準です。一方で、上の階ほど揺れを強く感じやすく、停電でエレベーターが止まると、水や食料を運び上げるのが大変になります。

徳島で見落としやすいのが、駐車場です。駐車場が冠水すると、車が使えなくなります。駐車場が建物と別の敷地にある物件は、建物と駐車場の両方の住所で調べてください。なお、内閣府の資料によると、津波からの避難は国の防災基本計画で徒歩が原則とされています。車で逃げる前提で、避難の計画を立てないでください。

賃貸の部屋でできる家具の固定

賃貸は、壁や柱に穴を開けられないことが多いので、固定の方法は契約の前に管理会社へ確認します。突っ張り棒式の器具や、粘着マットのように穴を開けずに使えるものがあります。壁に穴を開けるタイプの固定具は、貸主の許可が要ります。

大きな家具は、寝る場所の近くに置かないのが最も手軽な対策です。ベッドの頭の上に重いものを置かない、出入口の近くに倒れやすいものを置かない、という置き方の工夫なら、費用はかかりません。

徳島市の掲載124件で見ると|築年と間取りの傾向

当社が2026年10月時点で掲載している徳島市内の賃貸124件を集計すると、家賃の中央値は5.0万円、最高は14.2万円でした。築年数の中央値は14.5年で、築5年以内は8.1%です。間取りの内訳は、次のとおりです。

間取り件数割合
2LDK43件34.7%
1LDK29件23.4%
1K14件11.3%
3LDK13件10.5%
2DK10件8.1%
1DK7件5.6%
1R4件3.2%
その他(3DK・2K・2LDK〜3LDK)4件3.2%

※2026年10月時点で当社サイトに掲載している徳島市内の物件124件の集計です。事務所・倉庫向けの物件を含む場合があります。在庫は日々入れ替わります。

築年数の中央値が14.5年ということは、掲載の半数以上が築14.5年以内、つまり2012年ごろ以降の建物です。2000年の区切りより新しい物件が、少なくとも半数あります。一方で、築年数が古い物件は、家賃を抑えやすい面があります。家賃を優先して古い物件を選ぶ場合は、前の章の確認を済ませてから決めてください。

間取りでは、1LDKと2LDKで掲載の58.1%(72件)を占めます。1R・1Kでも、備蓄は1人1週間分の水だけで21リットルです。広さに関係なく、置く場所を先に決めておく必要があります。

掲載中の物件から、5件を載せます。当社の詳細ページには築年月と募集中の部屋が出ていますが、構造の欄は見当たりませんでした。構造、建築確認を受けた日、階数は、問い合わせて確認する項目です。

この5件は、築年月が2014年1月から2026年3月までで、1981年と2000年の区切りより新しい建物です。ただし、築年が新しいことは、津波や洪水の想定が軽いことを意味しません。町名はそれぞれ違うので、5件とも前の章の手順で住所を調べてください。

気になる物件の防災面は、LINEで一緒に確認します

物件の住所で、津波や洪水の想定、築年、階数を調べるのは、一人だと手間がかかります。ご不明点があれば、LINEですぐにやり取りできます。物件が決まる前の段階でも構いません。LINEを追加したら、最初のメッセージで「ブログ記事を見た」とお伝えください。担当者が記事の内容を踏まえてお答えします。

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入居後に備える|地震保険・備蓄・避難

火災保険だけでは、地震の損害は補償されない

賃貸の契約では、家財の火災保険に入るのが一般的です。ただし財務省の説明では、火災保険は地震を原因とする火災や、地震で延焼・拡大した損害を補償しません。地震・噴火・津波による損害に備えるのが、地震保険です。

地震保険は、火災保険とセットで契約します。対象は居住用の建物と家財で、賃貸では建物が貸主のものなので、借りる側が検討するのは家財です。保険金額は火災保険の30〜50%の範囲で決め、家財は1,000万円が限度です。たとえば、家財の火災保険が600万円なら、地震保険は180万〜300万円の範囲になります。

注意点が1つあります。地震の発生日の翌日から10日を過ぎて生じた損害は、支払いの対象外です。部屋の中に被害が出たら、早めに保険会社へ連絡してください。

※出典: 財務省「地震保険制度の概要」(2026年10月確認)。保険料や契約条件は保険会社によって異なります。

備蓄は、最低3日分から1週間分

農林水産省の「知って備える 家庭備蓄のイロハ」(2026年3月号)には、1人あたり最低3日分から1週間分の食品の備蓄が望ましい、とあります。水は1人1日3リットル(飲み水と調理用水の合計)、カセットボンベは1人1週間で約6本が目安です。

1人1週間分の水は21リットルで、2リットルのボトルなら11本分になります。県の想定では1週間後も断水率が44%なので、備蓄は1週間を目安にするのが現実的です。内見のときに、押入れや収納に水と食料を置く場所があるかを見ておくと、入居後の備蓄が続けやすくなります。

避難は、揺れがおさまったら歩いて、高いところへ

津波からの避難について、徳島県の資料は「早く・近くの・高いところへ」を呼びかけています。海岸近くで揺れを感じたら、津波警報や注意報を待たずに、すぐに避難します。津波は伝わる速さが非常に速く、見てから逃げるのでは間に合わない、とも書かれています。

避難する場所も区別が必要です。「避難場所」は、津波や洪水の危険から一時的に身を守る場所です。「避難所」は、自宅が被災した人が一定期間生活する施設です。津波のときに向かうのは「避難場所(津波)」で、徳島市のページに指定津波避難ビル・緊急避難場所の一覧があります。入居したら、昼と夜の両方で、その場所まで歩いてみてください。県の資料は、南海トラフ地震の特徴として、身動きがとれない揺れが長く続くことも挙げています。

契約前の防災チェックリスト

ここまでの内容を、契約前に確認する項目としてまとめます。内見のときに、この表を見ながら不動産会社に聞いてください。

確認する項目確認先見るところ
津波の浸水域県の津波浸水想定、警戒区域図浸水域に入るか。入るなら浸水の深さと、津波避難ビルまでの歩く経路
洪水・高潮市のハザードマップ(河川ごと)建物と駐車場の位置が入っているすべてのマップ。浸水の深さ
土砂災害市の土砂災害ハザードマップ警戒区域に入っているか
築年・耐震診断募集図面、重要事項説明1981年6月と2000年6月との前後。旧耐震なら診断の有無と内容
構造・階数不動産会社構造は何か。部屋の階は、想定される浸水の深さより上か
家具の固定管理会社穴を開けて固定してよいか。禁止なら、穴を開けない方法
避難場所市の一覧表昼と夜に、徒歩で行けるか
保険・備蓄保険会社、内見家財の火災保険に地震保険を付けられるか。収納に1週間分の水と食料を置けるか

徳島市の賃貸と防災のよくある質問

Q. 徳島市には、津波の心配がない地域がありますか?

県の想定では、津波の浸水面積は40.1km²で、徳島市の一部です。浸水域に入らない物件はあります。ただし、想定は最大クラスの津波を前提にしたものです。国土交通省も、浸水想定区域の外だからといって水害のリスクがないと受け取られないよう、不動産会社に配慮を求めています。揺れ、火災、台風、大雨の備えは、場所を問わず必要です。

Q. 築年が古い賃貸は、避けたほうがよいですか?

築年だけでは決められません。1981年6月より前に建築確認を受けた建物なら、耐震診断を受けているか、補強工事をしているかを聞いてください。2000年より前の木造は、接合部などの状態も確認の対象です。確認が取れれば、築年が古い分、家賃を抑えた物件を選ぶことはできます。迷うときは、当社にも気軽にご相談ください。

Q. ハザードマップは、不動産会社に頼めば見せてもらえますか?

水害ハザードマップ(洪水・内水・高潮)の上で物件の位置を示すのは、重要事項説明で決まっている項目です。契約の直前になってから見るのではなく、内見の段階で「この住所のハザードマップを見せてください」と頼んでも構いません。当社でも、物件が決まる前に、住所で一緒に確認できます。

まとめ

徳島市の賃貸を防災の面から選ぶときに、押さえておきたい点を並べます。

  • 徳島市は最大震度7の想定。全壊・焼失27,400棟のうち、揺れが18,400棟で最も多い
  • 津波の浸水面積は40.1km²で、県の表に載る市町で最大。津波は県の最新の浸水想定で調べる
  • 賃貸の重要事項説明で説明されるのは、土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域、水害ハザードマップ上の位置。浸水の深さ・震度・液状化は自分で調べる
  • 築年の区切りは1981年6月と2000年6月。確認するのは、建築確認を受けた日と耐震診断の有無
  • 火災保険では地震の損害は補償されない。家財の地震保険は、火災保険の30〜50%、1,000万円が限度
  • 備蓄は最低3日分から1週間分。水は1人1日3リットル。収納に置く場所があるかを内見で見る

当社の掲載124件では、家賃の中央値が5.0万円、築年数の中央値が14.5年でした。この家賃帯・築年帯の物件でも、津波や洪水の想定、築年、階数は物件ごとに違います。気になる物件の住所を教えていただければ、一緒に確認します。

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